創業時の思いを振り返る

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「北の玉手箱」を始めてもうすぐ1年、初めて創業体験について話をする機会がありました。

準備をしながら、過去のスケジュール表や作った資料を見返していて、色々な経緯を経て今に至っているんだなと実感しました。そして、創業時の思いは今も変わらない、ということも。

「北の玉手箱」ができてからお知り合いになった方たちがたくさんにます。「どうして北の玉手箱を始めたの?」と聞かれることもありますが、口では上手く説明できないので、会社設立時にFacebookに投稿した文章をこちらに貼り付けておきます。

オープンして最初の仕事のひとつが、記録的大雪の中での雪かきでした。今年もまた降るんだろうな。これからも末永く、どうぞよろしくお願いいたします。(北の玉手箱 店主 森口 美由紀)

entrepreneur seminar

昨日はたくさんのメッセージをいただきどうもありがとうございました。2013年6月21日は、夏至であり、大安であり、節目の誕生日でしたが、「株式会社 北の玉手箱」の設立日にもなる予定です。昨日、無事に設立登記の申請をしました。英文名称は、Tohoku Foodie Baskets になります。

3年前にはこういうことになるとは予想もしていませんでしたが、震災から1年経った日、松島のペンションに泊まったことが大きなきっかけになった気がします。元々レストランが有名だったそのペンション、震災の傷跡もまだ生々しく、コース料理は出せないから定食でということだったのですが、そこで食べた鯖の一夜干が何とも美味しくて、金華サバと呼ばれるものだと知りました。地味だけど本当に美味しい。この地では、人はみなそういうものが溢れた日々を過ごしているんだなと感じました。

東京で働く私の日常は、実は食に関して豊かとは言えませんでした。仕事に没頭して帰るときにはお店が閉まっていて買い物ができない。そもそも疲れきっていて作る気にもなれない。食べて帰ろうにも入れるお店がラーメン屋さんぐらいしかない。ラーメンが食べたくてラーメン屋さんに入るときはハッピーですが、他に選択肢がなくラーメンを食べるときは決してハッピーではありません。深夜コンビニでおにぎり、冬はあったかいものが食べたいから肉まんを買って帰る、ということもザラでした。そんなときとても惨めな思いになり、こんな時間管理しかできない自分が情けなくなり、いったい何のために働いているんだろうとネガティブな思いに陥ったものです。

食事にもハレとケがあると思いますが、ケの食事こそが幸せの源なのだと思います。地味でも美味しいものを食べて毎日楽しく過ごしたい。そんな思いがいつしか大きなモチベーションになって、東北食材の通信販売ビジネスを始めることにしました。半加工品を中心に、忙しく働く人も扱いやすい、カットされているもの、ある程度日持ちがするもの、少人数でも食べきれるように小さいロットで多品種を揃えたいと思っています。ごはんを炊かなくても、パスタやパンとも合わせられるものをたくさん揃えたい。

ビジネス立ち上げにあたっては、多くの友人、同僚のサポートをいただきました。東北の叔父さんから届く、美味しいものがたくさん詰まった段ボールが玉手箱みたいなのよと話していた元同僚。ロゴやウェブサイトを一緒に開発してくれているクリエイターたち。登記をサポートしてくれている大学時代からの友人。起業についていろいろアドバイスをしてくれた元同僚の女性経営者。東北食材について色々教えてくれる仙台の友人や久慈出身の元同僚。そして食生活について色々話してくれた働く女性たち。人とのつながりこそが財産なのだと感じています。

たくさんの人に、たくさんの「美味しい」を届けたいと思います。末永く、どうぞよろしくお願いいたします。